夕べは、新日本プロレス初の東海岸ツアー、マンハッタンにあるバスケットボールシティでの大会に行ってきた。
試合結果は、公式サイトを見ていただくとしよう。
会場は正直、酷かった。列が無かったら、どこが入り口か判らなかっただろうし、トイレも仮設。そんなの、きれいに使ってもらえるわけがなく、女性客達がかわいそうだった。同じバスケットボールシティでも、今回のピア36ではなく、マンハッタンの反対側、チェルシーピアの同名会場の方がよっぽどいい。
とはいえ、さすがに、日本の老舗団体の選手達だけあって、安心して見れる。
自分が一番楽しめたのは、IWGPジュニアヘビー級選手権試合、プリンス・デヴィットに、日本でもおなじみの元王者ロウ・キーが挑戦した試合。
正直、ロウ・キーって、なんとなく大技ばかりという印象が自分にはあり、あまり好きな選手ではない。
その反面、デヴィットは、地元アイルランドやアメリカでチャンピオンになった経験があるにも関わらず、日本に行き、若手として道場を掃除することから再出発したという、正に『puroresu』の選手。飛んだり跳ねたりの技も上手いが、基本のレスリングもしっかりしていて、結構好きな選手だ。
その次に楽しめた試合は、メインイベントのIWGPヘビー級選手権試合、自分が大嫌いなチャンピオン棚橋弘至に、対するはアマレス出身で元WWE、現ROH世界タッグチャンピオンのチャーリー・ハース。棚橋は嫌いだが、上手いのは確か。ハースが挑戦者と知って楽しみにしてたが、期待どおりの試合をしてくれた。
だが、色々考えさせられた。
全試合が終わっても、なんとなく満足感がなかった。
というのは、せっかく日本から選手が大勢来てるのに、どうも、新日を見たという感じがしなかったからだ。
どちらかというと、よくこの近辺で行われてる多少質のいいインディ団体の興行に新日の選手達が大挙ゲスト参戦してる程度くらいにしか思えなかった。新日を見せるというより、新日の選手達がアメリカ向けのプロレスをやろうとしてるように思えた。
もちろん、アメリカ人客用に、時々こっち向けの動きをした方がウケる。地元の選手を使わなければならないのも判る。
が、ならば日本からの選手を減らし、現地選手は前座でお互い対戦させたり日本人の若手と絡ませたりして、後半、特に最後の二試合くらいは、通常新日に参戦してる選手同士の「これが新日」と言えるような試合を組むという方法もあったんじゃないかと思う。今回ツアーしているニューヨークやフィラデルフィアといった地域は、プロレスだけに限らず、サブカルチャー的なものでもしっかり楽しんでくれるハードコアなオタク達が大勢いるんだから、それでも十分通じたんじゃないだろうか。
例えば、自分が新日で現在一番好きな中邑真輔。トップ選手の一人であるにも関わらず、昨日だけではなくその前日のニュージャージーや今夜のフィラデルフィアでも、出場したのは、前座の6人タッグや8人タッグ。おそらく夕べ同様、他の会場でも、良さを見せることなく終わったんだろうと思う。そりゃ生で観れたのはよかったけど、こういう扱いならわざわざ連れてこなくてもよかったんじゃないかな…と思った。もっとも、彼の良さってのは、『puroresu』に詳しくない多くのアメリカのファン達には理解してもらえそうにないような気もするが。
新日だからといって期待し過ぎたか?
いや、実際、以前からアメリカでツアーしている日本の別団体は、彼ら自身の良さを見せながらも、現地ファン達に受け入れられていて、正に自分が上に書いたような感じだ。
決して楽しくなかったわけじゃない。前にも書いたが、選手の質がいいんだから、試合そのものは楽しめた。
ただ、色んな要素を考えると、今後があるのやらどうやら気になる。何度でも来てほしいんでね。