2018年10月21日、NWAはテネシー州ナッシュビルで70周年記念興行を開催、ニック・オルディスがコーディを破り世界ヘビー級王座を奪回した。
11月9日には、MCWメリーランド州ジョッパ大会で、4月21日にも挑戦を退けたブランドン・スコットと再戦して勝利。11月24日にはノースキャロライナ州ウィンストン・セーラムでジャック・ヘイガー(元WWEジャック・スワガー)、そして12月16日にはプエルトリコのサンファンで元WWEで新日本プロレスにも参戦していたベテラン、ビリー・ガンも破った。また、12月後半には、母国イギリスで、リッキー・ナイト・ジュニア(WWEのペイジの甥)、ジミー・ハボック、イエスティン・リースらを相手に防衛を続けた。
12月4日、ビリー・コーガンNWA社長は、2019年1月5日、テネシー州クラークスビルでのポップアップイベントの開催を発表。所謂、ポップアップストアのプロレス版といったところで、同地のインディ団体トライド-N-トゥルー・プロレスリング(TNT)との共催だ。世界ヘビー級、世界女子、ナショナルの3王座防衛戦に加え、2019年に開催予定されているクロケット・カップ・タッグ・トーナメントの出場者決定戦も行われるという。
それに加えて、あのハリウッド俳優、デビッド・アークエットの出場も発表された。
アークエットといえば、2000年にリリースされたWCWを基にした映画『Ready to Rumble』で主演、それを理由に実際にWCWに選手として出場することになり、同年4月、タッグマッチではあったが、なんと世界ヘビー級王座を奪取する羽目になった。この『悪夢』が、WCW低迷につながる大きな要素の1つとして語り継がれてきた。
そして2018年、アークエットはテレビのトーク番組で、「過去18年間、プロレスファン達からの非難と戦ってきた。プロレスでどこまでできるか証明して、汚名を返上したい。」と宣言。NWAとは協力関係にあるカリフォルニアのCWFHで活躍するピーター・アバロンに教わり、7月に本格的に選手としてデビュー。11月にはロサンゼルスでのデスマッチにも挑戦したが、ニック・ケージの攻撃により首から大量出血、手術を受けた。
そんなアークエットに対し、今やNWAの名物男(?)ジョセファスが勧誘を迫る。
「これまで君のプロレス界における『復活』を見守ってきた。だが、君は今尚孤独だ。独りでプロレスを続けるのはよくない。君には我々ジョセファス王国が必要だ。ただし、俺とスピリチャル・アドバイザーに忠誠を尽くすという意味で、リング上で2人の前で髪を剃ってもらおう。そして、俺とタッグを組もうじゃないか。」
当然のことながら、どう考えても強引だと思われる展開にアークエットは反論。
「誰がそんな話に乗るか。そんなに言うなら、俺がタッグパートナーを探してくるから、お前も探してこい。負けた方が髪を剃るってことでどうだ?」
一方、ポップアップイベントでのジェームス・ストームの挑戦を控えた世界ヘビー級王者ニック・オルディスは、12月、CWFHのリング上で元王者ティム・ストームを呼び出し、大きな提案をした。2017年12月のオルディスがストームから王座を奪取した試合では、ストームが負傷中だったということから、2人が万全の状態だということを前提に、もしストームが負けたら二度と王座に挑戦しないという条件付きで、もう一度王座をかけて試合しようということだ。
年が明けた2019年1月2日、NWAは年内開催予定のクロケット・カップが、クロケット財団だけではなく、ROHとの3団体共同開催になることを発表。
そして1月5日、1,149人の観衆がクラークスビルに集まり、NWA初のポップアップイベントが開催された。
注目されていた敗者髪切り戦は、所詮孤独なアークエットはパートナーなんて見つけて来れないと、高を括っていたジョセファスが案の定、試合をするはずがないスピリチャル・アドバイザーをパートナーとして帯同したが、アークエットが連れて来たパートナーは、ティム・ストームだった。
試合結果(左側が勝者):
- マックス・スターダム vs ジェレミア・プランケット
- クロケット・カップ2019出場者決定戦: ウォー・キングス(ジャックス・デイン & クリムゾン) vs カレブ・コンレー & ジェイ・ブラッドリー
- TNT選手権(敗者団体追放戦): クレイジー・スティーブ vs サムエル・ショー
※ 王座移動 - 世界女子選手権: アリー[チェリーボム] vs ジャズ
※ 反則負けによりジャズが王座防衛 - 敗者髪切り戦: デビッド・アークエット & ティム・ストーム vs ジョセファス王国(ジョセファス & スピリチャル・アドバイザー)
- ナショナル選手権: ウィリー・マック vs マット・クロス
※ 王座防衛 - 世界ヘビー級選手権: ニック・オルディス vs ジェームス・ストーム
※ 王座防衛
試合に負けたジョセファスは、髪だけではなく、髭もさっぱり剃られる羽目に。
元TNA世界ヘビー級王者で元NWA世界タッグ王者でもあるジェームス・ストームの挑戦を退けたオルディスは、1週間後、ROHのアトランタ大会での選手権試合に臨んだ。会場は、かつてWCWが1989年から1996年までテレビ収録のために使っていたNWAとも縁の深いのセンターステージで、前年4月以来の因縁の相手である元WWEタッグ王者、ジャスティン・ガブリエルことP・J・ブラックを破り、王座を防衛。
また、オルディスは、3月に行われるワールド・リージョン・レスリング(WLW)のミズーリ州モスカウミルズ大会で、元NWA世界王者ハーリー・レイスの息子リーランド・レイスを相手に防衛戦が決定している。
そして4月27日、ノースキャロライナ州コンコードで、クロケット・カップ・タッグ・トーナメントが開催予定。それに先駆け、ROHは1月24日から26日までのテキサス3連戦でタッグ・トーナメントを開催。優勝チームには3月15日ラスベガス大会でのROH世界タッグ王座挑戦権が与えられると同時に、今回NWAポップアップイベントでの決定戦で勝利したウォー・キングスと共に、クロケット・カップへの出場権も与えられる。
果たして、クロケット・カップには、他にどんなチームが出場するのか?
ティム・ストーム、最後の世界王座挑戦となるか?
頭も髭もきれいさっぱり、ジョセファス王国の今後は? (笑)
CWFHやTNTに加え、ROHとの本格的協力体制も始まり、まだまだ目が離せないNWAなのである。
