NWAは2023年2月14日放送の『NWA Powerrr』で、4月7日にイリノイ州シカゴ郊外のハイランド・パークで次期PPV『NWA 312』が開催されることを発表。『312』とは、ビリー・コーガンNWA社長の故郷でもある同地域の市外局番だ。同大会では、12月に開催されたチャンピオンズ・シリーズ優勝チームのメンバーであるクリス・アドニスとラ・ロサ・ネグラが世界ヘビー級、世界女子王座にそれぞれ挑戦することが決定。
本来この時期は『クロケット・カップ』タッグトーナメント開催の予定なのだが、ハイランド・パークでは2022年7月4日、独立記念日パレード中に銃乱射事件が発生し、今回の大会はその被害者達のためのチャリティ興行でもあるという理由で『クロケット・カップ』を延期した可能性がある。
一時は忘れられたかと思われていた新設世界女子テレビ選手権の王座決定トーナメント決勝も同大会で行われることが発表され、『NWA Powerrr』3月14日放送分では元世界タッグ女子王者ケンジー・ペイジがアシュリー・ダンボワーズ、3月21日放送分では昨年夏に初来日を果たしたマックス・ザ・インペイラーがAAA王者タヤ・ヴァルキリーをそれぞれ準決勝で下した。
3月7日放送の『NWA Powerrr』では前世界ヘビー級王者トレバー・マードックがビースト・モードなる身長約2mの覆面選手と対戦。だが試合中、デイジー・キルが乱入しマードックを攻撃したため、マードックは試合に敗れてしまう。それを受けて、3月21日の放送ではマードックとキルの対戦が組まれるが、急遽キルと、これまた2m近い長身のタロスを相手とするハンディキャップ戦に変更。2人に攻撃され続けるマードックを、元世界ヘビー級王者マット・カルドナと仲間割れをして間もないマイク・ノックスが登場してマードックに加勢。2人は握手し元WWEのヘビー級選手同士が結託、『NWA 312』でギル & タロスとの対戦が決定した。
試合結果 (左側が勝者、最初の3試合はYouTubeで無料配信):
- ナタリア・マルコバ (6:27) ラブラバ・エスコバー
- USタッグ選手権: カントリー・ジェントルマン [A・J・カザナ & アンソニー・アンドリューズ] (6:15) SVGS [ジャックス・デイン & ブレイク・トゥループ]
※ 王座防衛。 - ヘアー対マスク・ストラップマッチ: ギャーグス・ザ・ジンプ (10:37) サル・ザ・パル
- トレバー・マードック & マイク・ノックス (6:55) デイジー・キル & タロス
- ナショナル・ヘビー級選手権: EC3 (9:37) サイオン
※ 王座移動。 - 世界女子タッグ選手権: M95 [マディ & ミッサ・ケイト] (8:59) プリティ・エンパワード [エラ・エンビー & ロキシー]
※ 王座防衛。 - クレイトス (6:52) ヤボ・ザ・クラウン
- ボブ・ルース・メモリアル26人参加バトルロイヤル: サイラス・メイソン優勝 (19:00)
- 世界女子テレビ王座決定トーナメント決勝: ケンジー・ペイジ (8:06) マックス・ザ・インペイラー
- 世界ジュニアヘビー級選手権: ケリー・モートン (14:35) ジョー・アロンゾ
※ 王座防衛。 - ブリー・レイ (10:32 反則) トム・ラティマー
- 世界タッグ選手権: ラ・レベリオン [ベスティア666 & メカ・ウルフ] (10:20) ダック・ドレイパー & ミムス
※ 王座防衛。 - 世界女子選手権: カミール (13:04) ラ・ロサ・ネグラ
※ 王座防衛。 - 世界ヘビー級選手権: タイラス (12:37) クリス・アドニス
※ 王座防衛。
新設世界女子テレビ選手権を奪取したケンジー・ペイジには、ベルトではなくトロフィーが授与された。トーナメント優勝者にベルトのデザイン考案の権利が与えられるという説明だったが、当然のことながら、「おそらく業者に発注していたベルトが間に合わなかったのだろう」といった声が多い。残念ながら、個人的には驚けないというのが正直なところだ。
また同大会中、6月3日・4日にノースキャロライナ州ウィンストン・セーラムにて『クロケット・カップ』が開催されることも発表された。
中途半端な照明や、ケンジー・ペイジに授与されたトロフィーなど、他のNWAのPPVと比べると(通常以上に)安っぽく見える点が多く、その上何度もFite.tvからの配信が中断されるようなこともあったため、ファンの間では、現体制下のNWAでは最低のPPVだったという声もある。
バトルロイヤルの名称に使われたボブ・ルースとは、1966年からシカゴ地区においてディック・ザ・ブルーザーのWWAやバーン・ガニアのAWAの興行を手掛け、AWAテレビ中継の実況アナウンサーとしても有名だった人物だ。かつて40年間同地区のプロモーターとして、一度はNWAの会長も務めたフレッド・コーラーが引退した翌年からルースが後を受け継ぐ形となった。本来、今回のバトルロイヤルの名称については、AWAの『顔』のような存在だったルースよりも、元NWA会長コーラーの方が相応しいような気がするが、同地でAWAを観て育ったビリー・コーガンの主観も強く入っているのだと思われる。
4月18日放送の『NWA Powerrr』では、冒頭から世界ヘビー級王者タイラスと、同じくオースティン・アイドル率いるユニットISM(アイドルマニア・スポーツ・マネージメント)に属する前世界テレビ王者ジョーダン・クリアウォーターがインタビューに登場。『NWA 312』での挑戦者クリス・アドニスの健闘を称えた後、インタビュアーのカイル・デービスが『クロケット・カップ』参加の可能性について質問すると、クリアウォーターが、「タイラスと共に優勝できたら最高だ。」とコメント。だが、それに対しタイラスは「まだパートナーを選んだわけだはない。」と気にも留めていないような態度を示す。5月2日の放送でタイラスはついにアドニスをパートナーに指名するが、アドニスは、これまたタイラスと同じISM所属で、アイドルの息子だという触れ込みの前ナショナル・ヘビー級王者サイオンと対戦し勝利。だが試合中、指示を続けるアイドルに対して、「黙れ! これまでお前の言うことばかり聞いてきたが、俺が王座を奪われたのは、お前のせいだろ!」とサイオンが反論。タイラスの離脱、サイオンの反乱により、おそらくISMの解散も間近だと思われる。
5月9日放送の『NWA Powerrr』ではトム・ラティマーの保持する世界テレビ王座に、ナショナル・ヘビー級王者EC3が挑戦するが時間切れ引き分けに終わる。
4月15日から30日にかけては、3月のメキシコ同様、オーストラリアにおいてもビリー・コーガン率いるスマッシング・パンプキンズ他数バンドによるミュージック・フェスティバル『The World is a Vampire』がプロレスとのコラボで開催。NWAとWAOAなる(おそらく架空または即席の)地元団体との対抗戦として行われ、新日本プロレスの現地ブランド『NJPW TAMASHII』に参戦中の選手も含め、地元選手達がラ・レベリオンの保持する世界タッグ王座やケリー・モートンの世界ジュニアヘビー級王座に挑戦した。
世界女子王者カミール同様、NWA参戦以来成長著しいのがこの世界ジュニアヘビー級王者ケリー・モートンだ。カミールとケリーは既に全米各地およびメキシコで王座を防衛しているが、カミールはそれに加えカナダとイギリス、そしてケリーも今回のオーストラリアに続き、7月22日にはカナダのオンタリオ州でも防衛戦が予定されている。個人的には2人とも、日本で「泳がして」みたい存在だ。
そんなケリーだが、『NWA 312』の試合後のインタビューでは、如何に自分が素晴らしい世界王者か主張し、やや自信過剰な態度を見せていたため、父リッキーが割って入り、「お前はまだまだこれからも対戦しなければならない相手が大勢いる。いい気になってんじゃない。」となだめに入る。その後の試合は、それまでお互いのセコンドに付いていたにも関わらず、それぞれ単独で出場。緊張感が高まる中ではあるが、『クロケット・カップ』に親子タッグで出場することが決定した。
『クロケット・カップ』のトーナメントには計24組が出場するが、その中にはメキシコAAAから2組、更には昨年予選敗退した元世界タッグ王者組ヒート・シーカーズも含まれている。また、『NWA 312』でのバトルロイヤル優勝者サイラス・メイソンがEC3の保持するナショナル・ヘビー級王座に挑戦する。
『クロケット・カップ』を勝ち取るのはどのチームか?
一部のファン待望どおり、ケリー・モートン悪役転向は間近なのか?
今や絶対王者の位置を維持しつつある世界女子王者カミールの次なる挑戦者は?
メキシコ、オーストラリアに続く、ロックコンサートとのコラボによる今後の予定は?
っつうか、タイラスはいつまで世界ヘビー級王座を保持し続けるのだろうか…?
まだまだ目が離せないNWAなのである
