今尚NWAを追う(23) – 『炎の中へ』

第一回PPV

カテゴリー: 今尚NWAを追う , 観戦 [テレビ、オンライン]

2019年9月30日と10月1日に、ジョージア州アトランタで現体制としては初のテレビマッチ収録を開催したNWA。新番組『NWA Powerrr』は毎週火曜東部時間午後6:05から45分放送、そして12月14日の初PPV開催も発表された。火曜の放送はYouTube、再放送は格闘技ストリーミングサイトFITE.tvで、かつてTBSでジョージア・チャンピオンシップ・レスリングWCWの放送枠だった毎週土曜東部時間午後6:05に決定。

『NWA Powerrr』の主題歌は、ヘヴィメタルバンド、ドッケンの『Into the Fire』で、これがまた番組の1980年代っぽさを増すことになる。第1回PPV大会の題名も同じく『Into the Fire』に決定。また、番組中の試合やインタビューの合間には、色々な宣伝やCMもどきが、これまた80年代のスタイルで流される。これには、「せっかく番組自体は面白いのに、CMはパロディっぽい悪ふざけだ。」という批判と、「それも含めて80年代っぽくて、全体的に楽しい。」という意見に分かれている。そんな中、そのCMの時間に、『ザ・クエスチョン・マークが近日登場』という、安っぽいデザインの覆面をした選手の映像が流され始めた。

2018年9月1日、ニック・オルディスがコーディにNWA世界ヘビー級王座を奪取された際、試合中にコーディ夫人のブランディ・ローデスの介入があったことが敗因だと主張。その対策として10月21日のNWA発足70周年記念大会での再戦では、オルディスも身長178cmの女子選手カミールを従えて入場、見事に王座を奪回した。以来、オルディスはカミールを帯同するが、約1年後、2019年10月8日の『NWA Powerrr』第1回放送のメインイベント中、場外に降りた挑戦者ティム・ストームをオルディスが攻撃しようとした際、ストームによけられ、そのままカミールにラリアットを喰らわす羽目になった。試合後のオルディスへのインタビュー中、アナウンサーはカミールにも感想を求めるが、無言のまま。以降、毎週どんな質問をされてもカミールは沈黙を押し通す。

WWE世界タッグ王者トレバー・マードックが10月15日の放送に初登場するが、70周年記念大会で行われたナショナル王座決定トーナメントにも出場したリッキー・スタークスに、わずか3分半で破れる。マードックは10月29日の放送に再び現れ、もし指定された試合に勝利したらNWAと選手契約したいと主張。ジョセファスに1分13秒で勝利し、正式に契約。これでジョセファスは2戦連続短時間での敗北となった。

同じく10月15日には、世界タッグ王者組ワイルドカーズ (トーマス・ラティマー & ロイス・アイザックス)にアウトロー・インク (エディ・キングストン & ホミサイド)が挑戦するが、ドーソン兄弟 (デーブ & ゼイン)の乱入によりノーコンテスト。アウトロー・インクはドーソン兄弟に挑戦を表明し、翌週22日の放送で両チームでの反則なしのルールで試合が組まれるが、ワイルドカーズがドーソン兄弟に加担し、アウトロー・インクが敗れる。11月5日の放送で再戦が組まれ、またもやワイルドカーズが加担したところ、1985年以来8度世界タッグ王座を奪取したロックンロール・エクスプレス (リッキー・モートン & ロバート・ギブソン)も乱入しワイルドカーズを攻撃、その結果アウトロー・インクが勝利を収めた。だが12日の試合では、ワイルドカーズがアウトロー・インクを破り王座防衛。

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10月22日の放送では、5月のROHシカゴ大会でNWA世界女子王者アリシン・ケイに挑戦し敗れたマーティ・ベルが登場し、クリスタル・ローズを一蹴。翌週29日には、アシュリー・ヴォックスとの一戦が組まれたが、試合前にスタジオに現れた世界王者ケイから、「再度挑戦しようとしてる意欲は嬉しいけど、正直、あなたはまだ準備ができてないと思う。」と厳しい一言が。そのうえ、あっさりヴォックスに敗れてしまう。試合後、スターダムや東京女子プロレスに参戦経験もあるサンダー・ロサが登場、ベルに手招きで握手を促すが、ベルは拒否し退場。翌週の11月5日、ロサがヴォックスにシングル戦で勝利した後にも攻撃を続けるため、ベルが駆け付けヴォックスを助ける。その直後に行われたインタビューでベルが、「親友だと思ってたケイから、先週あんなことを言われて心外だった。」と語ると、ケイが登場し、「親友だったら、こんなところで語っていないで、直接言ってほしかった。」と返す。そこに再びロサが登場しケイを攻撃、ベルにも共闘を促すと、遂にベルもケイを攻撃し始める。

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10月29日には、アロン・スティーブンス(元WWEのダミエン・サンドウ)が登場するが、リッキー・スタークスにあっけなく敗れる。

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11月5日の放送で行われたナショナル選手権試合では、王者ジェームス・ストームのセコンドに元インパクト世界ヘビー級王者イーライ・ドレイク、挑戦者で前王者のコルト・カバナにはケン・アンダーソン(元WWEのミスター・ケネディ)がそれぞれ就いた。途中、場外でセコンド同士の乱闘が始まり、そこに、通常はオルディスのセコンドにいるカミールも登場。混乱の中、場外での乱闘に気を取られている隙を狙ってカバナがストームをフォールし王座奪回。翌週12日の放送では、カバナのインタビュー中に、リッキー・スタークスが現れ、ナショナル王座挑戦を表明。

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11月12日には、謎の覆面選手ザ・クエスチョン・マークがついに(というか、とうとう?)デビュー。リッキー・スタークスと対戦し、いかにも昔のアメリカ映画に出てきそうなインチキ臭い『空手技』を使いながらも歓声を浴びるが、アロン・スティーブンスが乱入しノーコンテストに。スティーブンスとクエスチョン・マークは翌週19日、タッグ戦でスタークスとカバナに勝利するが、何故か最初から観客の心を掴んでしまったクエスチョン・マークに声援が集まり、その反面スティーブンスにはブーイングだという、タッグであるにも関わらずそれぞれ違う反応で、かつてサンドウがWWEでザ・ミズと組んでいた時と似た流れとなってしまった。

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また、11月19日の放送では、PPVが近づいているからか、色々な展開が見られた。

抗争が勃発したドレイクとアンダーソンは、インタビュー中の口論が原因で乱闘に発展。後日、諸事情で放送はされなかったが、世界王座挑戦者決定3ウェイ戦で、ジェームス・ストームがドレイクとアンダーソンと対戦、アンダーソンをフォールし、12月14日のPPVでのオルディスへの挑戦権を獲得。その結果、PPVでのドレイクとアンダーソンの一騎打ちが決定。

サンダー・ロサ & マーティ・ベルがアリシン・ケイ & アシュリー・ヴォックスと対戦した試合では、元WWE世界女子王者メリーナが登場。ケイが気を取られている間にロサにフォールされる。メリーナはロサとベルと結託し、PPVでは当日初登場のターシャ・スティールスとロサのシングル戦、そしてケイ & ヴォックスとメリーナ & ベルのタッグ戦が行われることが発表。

19日の番組終盤、アナウンサーのデビッド・マルケスが終了の挨拶をしている最中にジェームス・ストームが登場し、オルディスは世界王者であるにも関わらずノンタイトル戦ばかり続けていると批判。そこになんと、沈黙を貫き続けていたカミールが現れ、不気味にもストームに何やら耳打ちをした。急に笑顔に変わったストームは大人しく退場。後日、オルディスは、ストームとの対戦にカミールの援助は不要とし、当日は欠場させると発表。

また、19日の第1試合では、ノンタイトル戦で世界王者オルディスがトレバー・マードックと一騎打ち。試合自体は好評だったが、試合中に解説のジム・コーネットが、1980年代から何度となく繰り返しているエチオピアの飢餓に関するジョークを使い、多くの人々がこれを人種差別だとし、翌日ツイッターが炎上。結果、NWA副社長デビッド・ラガナとコーネットの間での確執となり、コーネットがNWA離脱を表明。それまでも、試合終了の直後にいきなり音楽が流れ始めることがあったが、コーネットが不適切なコメントをしていたため、それを消すために音楽で吹き替えをしていたらしく、いずれにせよコーネットは長続きしなかったのだと思われる。代わりに新しい解説として、PPV大会からは、オルディスのイギリス時代からの友人ステュ・ベネット(元WWEのウェイド・バレット)が実況席に加わることになった。

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更に19日の放送では、2人とも60歳を超えているロックンロール・エクスプレスがワイルドカーズの持つ世界タッグ王座に挑戦を表明。そして12月3日放送分で、なんと王座を奪取してしまった。2人は、1985年7月の初栄冠から同年11月、1986年8月、1987年5月と、ジム・クロケット・プロモーションズで4度世界タッグ王座に就いている。その後も1995年4月にクロケットがダラスで開催した復活王座決定トーナメントに優勝、1996年6月にメンフィスUSWAでの試合で王座が預かりとなったが7月に再戦で勝利し奪回。また、1998年1月にNWAとWWFが提携した際にも王座を授与され、更には、あまり知られていないが、2000年4月にも韓国の倭館にある米国陸軍基地で通算8度目の栄冠を果たし、今回が9度目のNWA世界タッグ王座奪取となった。色々な時代のNWAで王座に君臨した貴重な存在でもあるが、2019年8月にはROH世界タッグ王座にも挑戦、9月の新日本プロレス米国ツアーには3戦連続出し6人タッグ戦で棚橋弘至とも組み、秋には試合こそなかったがAEWのテレビ生中継にも登場しており、さすがに昔ほど動けないにしろ、なぜか今また引っ張りだこの人気チームだ。

同じく12月3日の放送では、アロン・スティーブンスが、ザ・クエスチョン・マークの加勢により、既にナショナル王座挑戦を表明していたリッキー・スタークスに勝利。これにより、PPVでのナショナル王座戦は王者カバナ、スティーブンス、スタークスでの3ウェイ戦に決定した。

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PPVの4日前、長年NWAの情報を提供し続けているAlliance-Wrestling.comのインタビューで、デビッド・ラガナ副社長は「当日は必ず観ているみんなを驚かせる。」と明言。

そして12月14日、ついに新生NWA初のPPV生中継『Into the Fire』の日がやって来た。

早速2020年1月24日に次回PPVが開催されること、そしてNWA世界テレビ選手権が復活することが発表された。時期早々のような気がしないでもないが…。

メインイベントの世界選手権試合は3本勝負で、1本目が挑戦者ストームが指名したブライアン・ヘブナー、2本目は世界王者オルディスの指名により元王者ティム・ストームがそれぞれレフェリーを務めることになった。3本目はコイン投げで決定。ティム・ストームが悪役転向か、欠場のはずのカミールが現れオルディスを裏切るのか、その他当然のことながら色々な憶測が流れたが…。

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試合結果 (左側が勝者):

  • イーライ・ドレイク (9:15) ケン・アンダーソン
  • サンダー・ロサ (4:16) ターシャ・スティールス
    ※ 試合後、ロサが攻撃を続けるため、アリシン・ケイと組んでタッグ戦が予定されているアシュリー・ヴォックスが乱入し、スティールスを救出しようとするが返り討ちにあう。その結果、ヴォックスはタッグ戦不出場に。
  • ザ・クエスチョン・マーク (5:58) トレバー・マードック
    ※ アロン・スティーブンスが加担。
  • 世界タッグ選手権: ロックンロール・エクスプレス: リッキー・モートン & ロバート・ギブソン (6:02) ワイルドカーズ: トーマス・ラティマー & ロイス・アイザックス
    ※ セコンドとしてロックンロール・エクスプレスにはアウトロー・インク、ワイルドカーズにはドーソン兄弟がそれぞれ就いた。多くのファンの予想に反し王座防衛。
  • アリシン・ケイ [世界女子王者] & ODB (7:21) メリーナ & マーティ・ベル
    ※ ロサの攻撃により負傷したヴォックスに代わり、ケイのパートナーとして登場したのは元TNAノックアウト王者ODB。当日のサプライズ第1弾だったが、番組終了時のものは、これとは比べ物にならない程だった。
  • ナショナル選手権 (3ウェイ): アロン・スティーブンス (11:20) コルト・カバナ、リッキー・スタークス
    ※ スティーブンスのセコンドに就いたザ・クエスチョン・マークによる介入もあり、スティーブンスがカバナをフォールし王座奪取。
  • 世界ヘビー級選手権: ニック・オルディス (2-1) ジェームス・ストーム
    1: ストーム (2:20)
    ※ 早くもカミールが登場。「今日は来なくていいと言っただろ。」と、気を取られていたオルディスがフォールされる。
    2: オルディス (11:07)
    3: オルディス (21:54)
    ※ ターンバックルの剥がれていたコーナーにストームが頭をぶつけ、オルディスにテキサス・クローバー・ホールドをかけられても反応がないため、レフェリーストップによりオルディスの勝利。

試合後、オルディスはインタビューで、「この勝利で言えることは、この地上には自分からこのベルトを獲る選手はいないということだ。」と語る。すると、なんとROHとの契約終了でAEW参戦がほぼ決定的だと噂されていたマーティ・スカルが登場。7月にNWAが突如ROHと提携を解消した際、8月9日にROHトロント大会で予定されていた2人によるNWA世界戦もキャンセルとなっていた。AEWと正式契約するまでの短期出場の可能性が高いが、正に驚かされた瞬間だった。

オルディスと旧友スカルの決着戦はいつ行われるのか?

世界テレビ王座を復活させる意義とは?

ロックンロール・エクスプレスから世界タッグ王座を奪取するのは?

NWAの名物男だったはずのジョセファスが負け越すと間もなく現れた謎の覆面選手ザ・クエスチョン・マークの今後は? (笑)

まだまだ目が離せないNWAなのである。


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