1992年9月5日。土曜日。
大学時代、毎週金曜日になると、ダラス・スポータトリアムへ行って、友達と数人で最前列に陣取って、ビールを飲んで結構下品な野次を飛ばしながら、グローバル・レスリング・フェデレーション(GWF)の試合を観ていた時期があった。
リング常設の会場だったんで、いつも同じ団体が使うことになっていた。
だが一度だけ、WCWがスポータトリアムに来たことがあった。当然GWFの協力を得ての話。うろ覚えだが、6月に副社長に就任したビル・ワットが、若い世代にも伝説のスポータトリアムを体験させてやりたかったとか、そんな感じだったと思う。
そういうわけで、その週は2晩連続プロレス観戦。さすがにWCWなので、いつものように簡単に最前列ってわけにはいかなかったが、リングからそんなに遠いわけでもなかった。
当日の試合(左が勝者):
- トム・ジンク vs スコティ・フラミンゴ [レイヴェン]
- グレッグ・バレンタイン vs ヴァン・ハマー
- ザ・バーバリアン vs バリー・ウィンダム
- ダスティン・ローデス & マーカス・アレクサンダー・バグウェル [バフ・バグウェル] vs ダイアモンド・ダラス・ページ & ビニー・ベガス [ケビン・ナッシュ]
- リック・スタイナー & スコット・スタイナー vs アーン・アンダーソン & ボビー・イートン
- スティーブ・オースティン vs リッキー・スティムボート
- スティング & ニキタ・コロフ vs ジェーク・ロバーツ & スーパー・インベーダー [ヘラクレス・ヘルナンデス]
- WCW世界ヘビー級選手権: ロン・シモンズ* vs リック・ルード
正直、この日の試合の殆どが、これまたうろ覚え。
何故かというと、セミファイナル(だったかどうかも正直覚えてない)の最中、銃声が聞こえたからだ。それも、通路の近くに座ってた自分から、その通路を挟んで隣のセクション。あるおっさんが、隣に座ってた兄ちゃんに押さえつけられてた。弾丸はどこに行ったのかわからないが、怪我人も器物破損もなかったはず。
当時のダラスはまだ、プロレス会場でやってることの全てを鵜呑みにしている観客が結構いたのも事実。
後で聞いた話だが、30年間スポータトリアムに来続けてたおっさんらしく、警察の取り調べによると、実際にロバーツを撃とうとしていたらしい。リング上の選手達も、なんか慌てて試合を終わらせたような記憶がある。当然うろ覚えだが。
以前、ある州の捜査官の知人に連れられて、射撃場で当時最新型のピストルやライフルを撃たせてもらったことはあったし、アメリカに住んでるもんで遠くで銃声が聞こえるってのは何度もあったわけだが、数メートルしか離れてないとこで『実用』ってのは初めてだったんで、さすがに一瞬頭の中が真っ白になった。
今思うと、せっかく豪華なカードだったのに、もったいなかったなぁ…。