今尚NWAを追う(17) – 父と息子の物語

『夢』から『悪夢』へ受け継がれたもの

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2018年5月13日、バレットクラブのコーディ(コーディ・ローデス)とヤングバックスは、9月1日にシカゴで開催される自主興行『オール・イン』の記者会見を開催。NWA社長のビリー・コーガンも同席の中、コーディがNWA世界ヘビー級王座への挑戦を発表。

世界王者ニック・オルディスは、5月26日、ROHのロンドン大会に登場、試合直後のコーディの前に現れ、ROH世界王座を奪取した際にはダブルタイトル戦にすることをNWA世界王座挑戦の条件とした。

だがコーディは、6月29日のダラス大会でのROH世界王者ダルトン・キャッスルとマーティ・スカールとの3ウェイで王座奪取に失敗しただけではなく、翌日のバージニア州フェアファックス大会での、王者キャッスル、元王者ジェイ・リーサル、マット・ターバンとの4ウェイ戦では、リーサルに王座奪取を許すという結果に終わった。

一方、オルディスは各地で防衛を続けた。7月6日にはテキサス州サンアントニオでランス・ホイト(鈴木軍のランス・アーチャー)、7月7日にはオクラホマ州ブリストーでブランドン・グルーム、7月11日から15日にはオーストラリアを転戦し地元の選手達を中心に4人を相手にそれぞれ防衛。7月20日には、ROHナッシュビル大会で、NWAコーガン社長指名挑戦者のフリップ・ゴードンも倒した。

7月28日にはミズーリ州ケープジラードでオースティン・レーン、8月12日にはミネアポリスで以前WWETNAで活躍したケン・アンダーソン(ケン・ケネディ)、8月18日にはウェストバージニア州パーカースバーグで元TNA世界タッグ王者ロビー・E、そして8月26日にはNWA所縁の地シャーロットで地元のインディ団体PWXが、なんとクロケット財団と共催した大会で、イーサン・ケースを相手に防衛した。

その間もオルディスとコーディの間で舌戦が繰り広げられた。

ROH王座を奪取できなかったコーディに、「俺はNWA世界王座をかけるが、お前は何をかけるというんだ?」と問うオルディス。

それに対し、コーディは、2017年後半ROH世界王者だった際、「今後はベルトではなくこの指輪が王者の印。今後自分の王座に挑戦する者は、試合前に握手ではなくこの指輪にキスをしなければならない。」と宣言した時のROHのロゴが入った指輪を『担保』としてオルディスに渡して言った。

「俺がこれまでケニー・オメガや飯伏幸太といった強豪達を倒してきた間、お前は53歳の高校教師から王座を奪取しただけだろ。」

決戦を数日後に控えた8月25日のROHフィラデルフィア大会で再び2人は会った。

コーディは、夫人のブランディを呼び出し、WWE脱退から『オール・イン』のチケット完売まで、ずっと付いて来てくれたことに感謝を述べ、会場のファンにも『オール・イン』がいかに業界の在り方を変えるイベントかを訴えた。

一緒に拍手をしていたオルディスだが、リングアナウンサーからマイクを受け取ると言った。

「プロモーターとしてのコーディはさておき、プロレスラーとして、1人の男として、俺と面と向かって話そう。こんなにみんなを盛り上げて、そこまで今度の試合に勝つ自信があるのか。それとも、現実を目前にし、今こうやって盛り上がってる方が気が楽なのか。言っておくが、目の前に立ちはだかっているのは、単に53歳の高校教師を倒した男ではない。俺はこれまでAJ・スタイルズ、サモア・ジョー、カート・アングル、ジェフ・ハーディ、ボビー・ルードを倒し、リングのど真ん中で、アイコンであるスティングにタップアウトさせた。そして、俺がこのベルトにもう一度価値をもたらし、俺がこの王座をもう一度真の世界王座にした。お前は偉大な父のことを想うのかもしれないが、俺だって家に帰ると、父親が世界王者のまま帰ってくるのを待ち望んでいる幼い子がいる。お前以上のモチベーションが俺にはあるんだ。お前のニヤついた顔を見ていると、シカゴでお前にビンタを喰わせて謙虚にさせたくなる理由がもう1つ増えたような気がするよ。」

個人的な感想としては、これまでの煽りビデオの連続は、最近のアメリカのプロレス界にはあまり無い、1つの試合、そして1つの選手権が、いかに大事か、十分表現できているシリーズだったと思う。また、多くの場合とは違い、大げさに罵り合うわけではなく、なんとなくボクシングか総合格闘技の試合にでも繋げているかの様なスポーツ的な雰囲気も出していて、かえってそれが新鮮味を増している感がある。

そして決戦の2018年9月1日。

挑戦者コーディの入場の際のセコンドには、ダイアモンド・ダラス・ページやトミー・ドリーマーらが付き、王者オルディスとは元王者ジェフ・ジャレットや前王者ティム・ストームらが共に入場。

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複数の介入があったり、試合後なぜかブランディが元気そうだったり、突っ込みどころが幾つかあったにしろ、決して内容は悪くなかったと思う。

米プロレス界全体の注目を集めたと言っても過言ではないこの一戦、現在おそらく世界一有名なプロレス関係者、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンからもコーディの勝利を祝う言葉が贈られた。

だが、この試合の意味は、もっと別のところにあるのではないだろうか。

WWEやインパクト、ROHなどの既存の団体主催ではない最大の大会。

米国内ではWCW時代以来最大の観衆の前でのNWA世界王座移動。

TNA時代以来最大のNWAに対する注目度。

初の親子二代によるNWA世界ヘビー級王座栄冠。

色んな点で重要な試合だったと思う。

9月30日には、新日本プロレスカリフォルニア州ロングビーチ大会でIWGP・US王者ジュース・ロビンソンへの挑戦が既に決定していたコーディだが、今後NWA世界王者としても新日のリングに上がるのかどうか注目される。もしそうなると、ブルース・サープ社長時代のような扱いではなく、メインイベント格になるだろう。

NWAは8月23日、発足70周年記念大会を、10月21日、ナッシュビルで開催することを発表。昨年コーガンがNWAを買収した際、世界ヘビー級王座以外は全て空位および封印となったが、この日は復活ナショナル王座決定戦が行われる。当然、世界ヘビー級選手権試合も行われることになっており、コーディとオルディスの再戦の可能性は極めて高い。


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