2019年7月24日、突如ROHとの業務提携を解消したNWA。独自のテレビ番組制作に専念したいというのが理由だが、友好関係が強まっているものだとばかり思われていただけに、多くのファンは驚いた。
約2週間後の8月7日、 ビリー・コーガンNWA社長は、9月30日と10月1日に、NWA単独では初のテレビマッチ収録を行うことを発表。NWAに縁の深いジョージア州アトランタで、それも1980年代まで全米各地で行われていたスタジオマッチの形式を採用するのだという。ジョージア・パブリック・ブロードキャスティング(GPB=ジョージア公共放送)のスタジオで、2日間で8回放送分が収録される。12月のPPVも発表されたことから、今後も8回分収録とPPVが繰り返されることが予想される。
ROHとの提携解消により、多くのファンが空位となることを予想していたNWA世界タッグ王座だったが、9月7日のROHシカゴ大会で、トーマス・ラティマー(元TNAのブラム) & ロイス・アイザックスがブロディ・キング & PCOから奪取。正式な試合による王座移動により、ROHとの関係悪化が提携解消の理由ではないことが、とりあえず明確になった。
番組収録の実況にはCWFHのジョー・ガリ、そして解説にはかつてミッドナイト・エクスプレスやヘブンリー・ボディーズのマネージャーとして大活躍したジム・コーネットがそれぞれ務めることとなった。現役の王者達や、既にNWAと契約しているイーライ・ドレイク、そしてNWAの常連コルト・カバナに加え、春頃からROHや各地のインディ団体だけではなく、9月には新日本プロレス米国3連戦にも出場し、何故か今再び脚光を浴びているロックンロール・エクスプレス(リッキー・モートン & ロバート・ギブソン)の参戦も発表された。
そして、今や存在が薄れつつあるジョセファスも出場を表明。
注目されていたNWA世界ヘビー級王者ニック・オルディスの最初の相手は元王者ティム・ストームに決定。昨年12月、オルディスはCWFHのリング上でストームを呼び出し、2017年12月にオルディスが王座を奪取した試合ではストームが負傷中だったということから、ストームがもし負けたら二度と王座に挑戦しないという条件付きで、再度試合をしようという大きな提案をしていた。
毎週火曜午後6:05(米国東部時間)からYouTubeとfacebookでの放送で、土曜以降Fite TVでオンデマンドとなる。6:05というと、かつてジョージア・チャンピオンシップ・レスリングや、それを受け継いだジム・クロケット・プロモーションの看板番組『ワールド・チャンピオンシップ・レスリング』が毎週土曜に放送されていた時間だ。
そして10月8日、新番組『NWA POWERRR』の第1回目が放送。現在活躍する選手達の持ち味をうまく出しながらも、1980年代までアメリカで放送されていたプロレスの雰囲気も再現され、バランスの取れた番組だったと思う。生放送の時点での視聴者数は不明だが、録画されたものに対しては、その日のうちの『いいね』の数がfacebookで1,600、YouTubeでは7,500と、それまでNWAが流していた映像に対しては数百程度だったことを考えると大成功と言えよう。実際、「あっという間の1時間だった」という声も多い。
※ 下記の試合結果と映像に続いて、今後放送予定分のネタバレあり。
10月8日放送分試合結果 (左側が勝者):
- ゼイン・ドーソン & デーブ・ドーソン vs サル・リナウロ & ビリー・バック
- イーライ・ドレイク vs ケイレブ・コンレー
- ザ・ワイルドカーズ (トーマス・ラティマー & ロイス・アイザック) vs ダニー・ホワイト & ミムス
- ジェームス・ストーム vs ジョセファス
秒殺というか瞬殺というか… - NWA世界ヘビー級選手権: ニック・オルディス vs ティム・ストーム
オルディス防衛
登場した時点では歓声も多く、ジェームス・ストームとの乱闘で館内を沸かせたジョセファスだったが、試合になるとあっけなかった。
また、タッグ王座には、エディ・キングストンとホミサイドが挑戦を表明。
その他、今回の収録には、アロン・スティーブンス(ダミエン・サンドー)やミスター・アンダーソン、トレバー・マードックといった元WWEの選手達も登場。
そしてなんと、2日目後半に収録され11月下旬放送になると思われる試合では、ロックンロール・エクスプレスが世界タッグ王座を奪取。
モートン & ギブソンは、大方の予想通り短命王者となるのか?
世界ヘビー級王者オルディスの次なる挑戦者は?
第1回放送の盛り上がりは今後も続いていくのか?
このまま消え去っていきそうなジョセファスの今後は? (笑)
まだまだ目が離せないNWAなのである。