今尚NWAを追う(21) – テレビ収録発表

他団体との関係は?

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2019年4月、復活『クロケット・カップ』を成功に収めたNWAROH。その後も両団体の業務提携は続いた。どちらかというと、単独興行もなく、テレビ番組も持たないNWAが、ROHから活動の場を借りていたといった感じだろうか。

5月のROHシカゴ大会では、新NWA世界女子王者アリシン・ケイが、マーティ・ベルを破り初防衛。新NWAナショナル王者コルト・カバナは、クロケット・カップで王座を奪取した直後に挑戦を表明した元TNA世界ヘビー級王者ジェームス・ストームと15分の時間切れ引き分けで防衛。ストームの要望により5分の延長が認められたが、クロケット・カップでの反則負けによるトーナメント脱落を不服としたブリスコ兄弟が乱入したことにより中断。ブリスコ兄弟はカバナだけでなく、実況席で解説を務めていたが助っ人に入ったNWA世界ヘビー級王者ニック・オルディスも攻撃し、NWAに対して宣戦布告した。

早速、6月1日のROHワシントン州ケント大会で、カバナとマーク・ブリスコの間で試合が組まれ、カバナが見事にナショナル王座を防衛。そして、6月28日のボルティモア大会で、ROHのブリスコ兄弟と、オルディスとカバナのNWA軍の間でのタッグマッチが決定した。

だが、その試合発表から約1週間後、カバナの負傷欠場が発表された。NWAは、カバナの代役としてだけではなく、新しく契約したNWA所属選手として元インパクト・レスリング(旧TNA)ヘビー級王者のイーライ・ドレイクの出場を発表。だが結局、ボルティモアでの試合は両チームリングアウトに終わった。

翌29日のROHフィラデルフィア大会では、負傷中のカバナがリングサイドでインタビューを受けている際、ジェームス・ストームが乱入。「先日の試合で、5分間延長があったのに中断された。」と抗議し、改めてカバナに挑戦した。完治したら挑戦を受けるという返事も無視し、ストームはカバナを攻撃。やむを得ず、カバナはその場での選手権試合に応じた。

準備もなく私服のまま試合に挑んだカバナは、案の定敗れ、ストームにナショナル王座を奪われる。

https://www.youtube.com/watch?v=jjl9I8h-cuQ

ストームは、7月14日、チャンピオンシップ・レスリング・フロム・ハリウッド(CWFH)のカリフォルニア州ポートワイニミ大会に登場し、ピラナ・カンラナを軽く退けナショナル王座を初防衛。同大会には、初代CWFHヘリテージ王者ショーン・リッカーとして同団体にも馴染みの深いイーライ・ドレイクも登場、NWA世界王者オルディスやナショナル王者ストームに挑戦を表明した。

CWFHにNWAが登場したのは2月以来で約5ヶ月ぶりだったが、その間、NWAとROHの友好関係が強まっているものだとばかり思われていた。

だが7月24日には突如として、NWAとROHの業務提携終了が報道された。詳細は明らかにされていないが、NWAが独自のテレビ番組制作に専念したいというのが理由の1つだという。これにより、8月9日にトロント大会でマーティ・スカルがオルディスに再挑戦する予定だったNWA世界選手権試合も中止となった。

そして8月7日には、 NWA社長ビリー・コーガンにより、9月30日と10月1日、NWA単独では初のテレビマッチ収録を行うことが発表された。場所はNWAに縁の深いアトランタだ。

1980年代まで全米各地で行われていたスタジオマッチの形式を採用するのだという。インパクト・レスリングやROH、そして昨年14年ぶりに興行再開し今最も注目を集めているインディ団体であるメジャー・リーグ・レスリング(MLW)と、WWE以外で人気を集めている団体が増えている中、今更『過去の遺物』のようなスタジオマッチでは通用しないのではないかという意見もあるが、その一方で、今だからこそ、他団体がやっていないスタジオマッチというのが興味深いという声もある。これまでのROHでの露出により、ある程度NWAに対する関心が高まっている可能性もある。

番組スタッフの1人としてCWFHのデビッド・マルケスも参加することから、今後はマルケス主宰でCZWも加盟するユナイテッド・レスリング・ネットワーク(UWN)との関係が再び強くなることが予想される。

NWAが過渡期を迎えようとしている真っ只中の8月1日、元世界ヘビー級王者ハーリー・レイスが癌との闘病後、他界した。自ら主宰するワールド・リーグ・レスリング(WLW)は、1990年代後期に短期間ながらもNWAに加盟していたこともある。また、2002年のNWA-TNA旗揚げ戦では、元世界王者としてドリー・ファンク・ジュニアやリッキー・スティムボートらと共に登場した。2014年1月の新日本プロレス東京ドーム大会では、小島聡がロブ・コンウェイを破りNWA世界王座を奪取した試合で特別立会人を務めた。最近では今年3月にWLWの興行で息子のレランド・レイスが世界王者オルディスに挑戦。正に、過去と現在のNWAをつなぐ人物の 1人だった。

テレビ収録発表と共に、これまでfacebookYouTubeなどに重点を置いてきたNWAは、ついにオフィシャルサイトも公開した。

だが正直なところ、素人さが目立つサイトだというのが個人的な感想だ。

まず、現在のコンテンツとしてはYouTubeの埋め込みが2つ、そしてニュースレター申込フォームのみ。

パソコンで見ると、画面上部に表示されているNWAのロゴが極めて小さく(昨日の時点ではロゴがあったことさえ気づかなかった)、その反対に、埋め込んであるYouTubeの映像の中のロゴがかなり大きいという、バランスの悪さも目立つ。スマートフォンでしかサイト全体の表示確認がされていないのが明確だ。

また、サイトの最下部には「Copyright © 2019 NWA」といった著作権に関する記述やプライバシーポリシーへのリンクなどではなく、「Powered by Squarespace」とあり、一般ユーザーが簡単にサイトを作成できる簡易サービスを使用していることが(意図的ではないにしろ)公表されていて、まるで素人が適当に作ったサイトかのような印象を持たせている。

せっかく作成したオフィシャルサイトだが、これからプロらしいものに発展していくのだろうか?

袂を分かったROHに所属しているチームが保持するNWA世界タッグ王座の動向は?

現在契約している極少数の選手達以外に、テレビ収録に参戦するのは?

ドレイクが最初に挑戦するのは世界ヘビー級王者オルディスか、それともナショナル王者ストームか?

クロケット・カップ以降、名前さえ出てこないジョセファスの今後は? (笑)

まだまだ目が離せない(?)NWAなのである。


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