1948年に結成されたNWAは、その規模や形態は変わりながらも、2018年7月で70周年を迎えた。
8月23日、NWAは発足70周年記念大会を10月21日にナッシュビルで開催することを発表した。
その約1週間後の9月1日、シカゴで行われたコーディ(コーディ・ローデス)とヤングバックスによる自主興行『オール・イン』で、コーディがニック・オルディスからNWA世界ヘビー級王座を奪取。3度同王座を保持した父ダスティに次ぎ、初の親子二代による栄冠となった。後日、当然のごとく、70周年大会のメインイベントとして、オルディスとの再戦が発表された。それも、1980年代前半まで選手権試合では通例だった3本勝負だ。
また、昨年ブルース・サープからビリー・コーガンにNWAの実権が移った際、世界ヘビー級王座以外は全て空位および封印となったが、70周年大会では復活ナショナル王座決定戦が行われることに決定。以前は北米王座も認定されていたが、先日、NXTが北米王座を新設したことから、NWAはナショナル王座の復活を決定したと思われる。
9月後半には、CWFHのジョー・ガリが70周年大会の実況、そして解説は1980年代にミッドナイト・エクスプレスのマネージャー、その後スモーキーマウンテン・レスリングのプロモーターや、TNA(現インパクト・レスリング)のマッチメーカーとしても活躍したジム・コーネットが担当することが発表された。またメインイベントの選手権試合には、ジム・クロケット・プロモーションやWCWの実況だったトニー・シアボニが加わり、実況席に1980年代後半のNWAを思い出させる顔ぶれが揃うこととなった。
同大会での王座防衛戦を控えていたコーディだが、9月17日にはCWFHに初登場、9月29日に行われるROHラスベガス大会での初防衛戦が組まれたことも発表された。挑戦者はウィリー・マック。CWFHやPWGといったロサンゼルス周辺の団体で頭角を現し、現在インパクト・レスリングでも活躍、8月には来日しドラゴンゲートにも参戦した現在インディ界で注目の選手だ。試合はコーディがマックを破り、王座防衛。
世界ヘビー級王座防衛戦、復活ナショナル王座決定戦に加え、10月1日には、ブルース・サープ時代に世界女子王座を奪取していた元WWF王者ジャズが空位かと思われていた同王座の防衛戦の開催を宣言、多くのファンを驚かせた。挑戦者は、これまたインディ界で注目のペネロペ・フォード。
10/19には、復活ナショナル王座の新ベルトが紹介された。アメリカの地形をしたプレートに赤のレザーと、その姿はミッドアトランティック地区で認定されていたUSヘビー級王座の1970年代に使われていたベルトを基にしたデザインだった。
世界王者コーディと挑戦者オルディスは舌戦を続けた。オルディスは、『オール・イン』での試合中、コーディの夫人ブランディが試合に介入し、意図的ではないにしろ攻撃してしまったことについて、「コーディはブランディを盾として利用した。俺は女性には手を出さない。」とコーディを批判。それに対しコーディは、「どうせ10分も持たない奴が文句を言うな。今度の試合では3本目までも持たないだろう。」と返す。
また、出場予定のクリムゾンと元世界ヘビー級王者ジャックス・デインによるタッグチーム『ウォー・キングス』のセコンドにロードウォリアー・アニマルが付くことになり、誰の挑戦でも受けると宣言。それに対し、クリムゾンと結託しながらも6月10日CWFHでオルディスを交えた3ウェイでの世界王座戦で仲間割れをしたジョセファスが応じた。だが、『ジョセファス王国』からの挑戦者に指名されたのは、スピリチャル・アドバイザーと、かつて女子プロレス団体GLOWで活躍したハリウッドの、女性タッグだった。
試合当日、ジョセファスはその2人の女性を連れて登場。NWAのYouTubeビデオシリーズ以外でスピリチャル・アドバイザーが登場するのはこの日が初めてだった。ジョセファスがリング上のウォー・キングスを挑発している間、リングの反対側からウォー・キングスを襲ったのは、クレイジー・スティーブと、かつてWCWやWWEで活躍したシャノン・ムーアの2人だった。だが、5分以内であっけなく敗退。
試合結果(左側が勝者):
- ジェームス・エルスワース vs カリム・ブリガンテ [元NWA認定・現MWR認定ミズーリ州ヘビー級王者]
- NWAナショナル王座決定戦4ウェイ・イリミネーション式予選: サムエル・ショー vs コルト・カバナ vs サミー・グェバラ vs スコーピオ・スカイ
※ ショーが決勝進出 - バレット・ブラウン vs ラレド・キッド
- NWAナショナル王座決定戦4ウェイ・イリミネーション式予選: ウィリー・マック vs ジェイ・ブラッドレー vs マイク・パロー vs リッキー・スタークス
※ マックが決勝進出 - ティム・ストーム vs ピーター・アバロン
- NWA世界女子選手権: ジャズ vs ペネロペ・フォード
※ 王座防衛 - NWAナショナル王座決定戦: ウィリー・マック vs サムエル・ショー
※ マックが王座奪取 - 反則負けなしルール: ウォー・キングス (ジャックス・デイン & クリムゾン) vs シャノン・ムーア & クレイジー・スティーブ
- NWA世界ヘビー級選手権: ニック・オルディス (2-1) コーディ
※ 王座移動
バレット・ブラウンは、2017年9月末にNWAの実権がコーガンに移るまで世界ジュニアヘビー級王座を保持し、その後も防衛し続け、今年8月の時点でも王座を主張していたが、この日の実況では、元王者として紹介された。今後のNWAでの扱いが注目される。
ナショナル王座決定戦には、元US王者マグナム・TAが車椅子で立ち合い、勝者ウィリー・マックにベルトを贈呈した。
世界ヘビー級選手権試合のセレモニーでは、ドリー・ファンク・ジュニア、ジェフ・ジャレット、ブルー・デーモン・ジュニア、コルト・カバナ、ジャックス・デイン、ティム・ストームといった元王者達がリングに上り、ドリーがコーディと握手をするという歴史的な一場面もあった。
晴れて世界王座を奪回したオルディスだが、数日後には早速、今後の挑戦者達を発表。
11月9日には、MCWメリーランド州ジョッパ大会で今年4月21日にも挑戦を退けたブランドン・スコットと再戦。11月24日にはノースキャロライナ州ウィンストン・セーラムでジャック・ヘイガー(元WWEジャック・スワガー)、そして12月16日にはプエルトリコのサンファンで元WWEで新日本プロレスにも参戦していたベテラン、ビリー・ガンの挑戦が決定している。
尚、70周年記念大会中、NWAとクロケット財団の共催でクロケット・カップが2019年に開催されることが発表された。
クロケット財団とは、かつてジム・クロケット・プロモーションの事務所が所在していたノースキャロライナ州シャーロットを本拠とする、兵役経験者達を支援する非営利団体で、ジム・クロケット・シニアの長女が顧問、そのまた長女でジム・シニアの孫が理事長を務めているが、おそらくジム・ジュニアやデビッドは関わってないと思われる。
クロケット・カップは、1986年から1988年にかけて3年連続行われた、ジム・クロケット・シニア・メモリアル・カップ・タッグチーム・トーナメントを元にしたもので、来年行われるこのトーナメントで世界タッグ王座が復活することが多くのファンによって予想されている。
この70周年大会は、プロレスだけでなく総合格闘技やボクシング、キックボクシングなども扱うサイトFITE.tvで配信されたが、放送の段取りとしては、お世辞でも素晴らしいとは言えないくらい、音量の調整やカメラの切り替えが酷く、後日修正した映像を同サイトに載せ直す程だった。だが、会場に集まっていたファンはそんなことを知る余地もなく、その熱気は、映像を観ていても感じることができたし、実際現場にいた数人に訊いたところ、かなりの盛り上がりだったという。興行という意味では成功だったのかもしれない。
果たしてオルディスとコーディの3戦目はあるのか?
注目株の新ナショナル王者ウィリー・マックの初の挑戦者は?
ジャズから世界女子王座を奪取するのは?
ジョセファス王国の今後は? (笑)
少しずつ役者も揃い、まだまだ目が離せないNWAなのである。
